プラークは非常に多くの菌種から構成されています.しかし,すべての菌種に 歯面へ付着する能力があるわけではありません.プラークは,下記のいくつかの 段階を経て成熟していきます.
① 歯面に付着する能力をもった菌種(早期定着細菌群,レンサ球菌など)が歯面に 定着
② 歯面には付着できないが,すでに歯面に付着している菌種と結合することので きる菌種が積み重なる
③ さらに表層の菌種と結合できる菌種が次々とプラークの一部として集まってく る(共凝集)
歯肉 縁下プラークは,以下の3つのゾーンに分かれます.
①歯面に付着しているプラーク ②上皮に接触しているプラーク ③上記の2つの間にある細菌密度が疎な部分(非付着性プラーク)
病原性の強いレッドコンプレックス
ソクランスキー(Socransky)らは,歯肉縁下プラークを構成する菌種を分析し, 6つのグループに大別できることを示しました.さらに,歯周組織が健 康な被験者と歯周炎の被験者の菌種を比較し,歯周炎ではオレンジコンプレック スとレッドコンプレックスが有意に増加していることを明らかにしました. このレッドコンプレックスは,上皮に接触しているプラークに相当すると考えら れます.レッドコンプレックスに含まれるP. gingivalisは,軟組織に侵入するこ とが確認されており,歯周組織において強い病原性を有するとされています.